中学受験の塾選びでまず大切なのは、塾の方針や周りの噂に振り回されないことです。どの塾が良いかは、子どものタイプによって変わります。
首都圏の中学受験塾は、クラスの分け方と宿題の量に、塾ごとの特徴があります。そこで、入塾前に見ておきたいのが、子どもの先取り学習の状況と、計算スピードの2つです。この記事では、この2つのポイントと、塾の仕組みとの相性の考え方を紹介します。
この記事でわかること
- 入塾前に見たい2つのポイント
- 塾の仕組みを確かめる4ステップ
- 計算スピードを上げるには
入塾前に見たい2つのポイント


ポイント1:先取り学習ができているか
塾によっては、全クラスが同じテストを受け、その結果でクラスが決まる仕組みのところがあります。上位のクラスだけで扱う応用問題が全体のテストに出るため、下のクラスから上のクラスに上がるのは簡単ではありません。
こうした仕組みの塾では、入塾テストで高い点を取り、入塾したときから上位のクラスに入ることが大切になります。最近では、小2から小3の時期に、小4の内容の一部を学んでいる子もいます。先取り学習ができていないと、本来の力より下のクラスに入ってしまい、やる気が下がることにもなりかねません。
一方で、クラスごとにテストの内容が分かれていて、入塾後にクラスを上げやすい仕組みの塾もあります。まずは自分の力に合ったクラスに入り、少しずつクラスを上げていくことで、やる気を保ちながら進められます。
ポイント2:計算スピードはあるか
次に見たいのが、計算スピードです。計算が遅い場合、宿題の量が多い塾では、家庭学習が宿題に追われるだけになってしまうことがあります。
中学受験の塾は、基本的に宿題が多いところがほとんどですが、中には宿題を少なめにしている塾もあります。宿題が少ない塾は、子どもごとの弱点対策に時間を使いやすいというメリットがあります。
2つのポイントを家で確かめる方法
先取り学習の状況は、塾のパンフレットや入塾テストの出題範囲を見ると、だいたいの見当がつきます。小3の2月に入塾する場合、入塾テストでは小3までの内容に加えて、文章題や図形の考える問題が出ることが多いと言われています。市販の「入塾テスト対策」の問題集を1冊用意して、時間を計って半分ほど解いてみると、今の力と出題レベルの差がつかめます。
計算スピードは、100マス計算のような単純な計算よりも、分数や小数をふくまない「3けた+3けた」「2けた×1けた」などの基本計算を20問、何分で正確に解けるかで見るのがおすすめです。目安として、小3で20問を5分以内、ミス1問以内なら、宿題の多い塾でも計算でつまずくことは少ないでしょう。7〜8分かかる、ミスが3問以上ある場合は、入塾前の数か月で計算の練習を優先したいところです。
| 確かめること | やり方 | 目安 |
|---|---|---|
| 先取りの状況 | 入塾テスト対策の問題集を半分解く | 正答率6割以上なら上位クラスも視野 |
| 計算スピード | 基本計算20問を時間を計って解く | 5分以内・ミス1問以内 |
| 正確さ | 同じ20問を翌日もう一度解く | 2回とも同じミスがないか |
わが家の場合
わが家の息子は、学力が特に高いわけではなく、先取り学習もできていませんでした。計算スピードも、それほど速いわけではありません。
それでも、早稲田アカデミーに通い、何とか授業と宿題に食らいつきながら、少しずつ勉強の楽しさを感じているようです。2つのポイントがそろっていなくても、塾との合わせ方しだいで、力を伸ばしていく道はあります。
塾の仕組みを確かめる4ステップ


塾の説明会では、テストが全クラス共通かクラス別か、クラスはどのくらいの頻度で、どんな基準で変わるのかを聞いておきましょう。宿題の量も、1週間にどのくらいの時間がかかるのかを具体的に確かめておくと、入塾後のイメージがわきます。
入塾テストを受けたら、結果とあわせて、どのクラスから始まるのかを確認します。思っていたより下のクラスになった場合は、クラスの上がり方の仕組みを聞いて、目標を立てておくとよいでしょう。
説明会で聞いておきたい質問の例
説明会や入塾相談では、聞きたいことをメモにして持っていくと、聞きもらしがなくなります。たとえば、次のような質問です。
- テストは全クラス共通ですか、それともクラス別ですか
- クラスは何か月ごとに、どんな基準で変わりますか
- 宿題は1週間でどのくらいの時間がかかる量ですか
- 宿題を減らしたいとき、相談にのってもらえますか
- 入塾テストの結果で、どのクラスから始まりますか
答えを聞くときは、「平均的な子の場合」と「下のクラスから始めた子の場合」の2通りで聞くと、入塾後の様子がより具体的に想像できます。同じ塾でも、クラスによって宿題の量や授業の進み方が違うことはよくあります。
▶ 塾選びは子どもの体力と性格からという考え方はこちら:塾選びは子どもの体力と性格から|拘束時間の長い塾、進み方がゆるやかな塾、それぞれに合う子と確かめ方
入塾後に見直したいこと
入塾してからも、塾との相性は見続けることが大切です。入塾して2〜3か月たったら、クラスの変化、宿題にかかる時間、子どもの表情の3つを確認してみましょう。
宿題に追われて睡眠時間が削られている、クラスが下がり続けてやる気をなくしている、といった様子があれば、家庭学習の進め方を見直すサインです。宿題の取捨選択を先生に相談したり、計算の練習時間を増やしたりと、できることから調整していきましょう。
反対に、クラスが上がった、テストで解ける問題が増えた、といった変化があれば、子どもと一緒に喜びましょう。塾との相性は、入塾前の情報だけでは分からない部分も多いものです。通いながら、子どもに合った進め方を見つけていくことが大切です。
2〜3か月後の見直しで使える記録表
入塾後の見直しは、記憶に頼るより、簡単な記録をつけておくほうが確実です。毎週、次の3つを1行ずつメモしておくだけで、2〜3か月後に変化がはっきり見えてきます。
| 記録すること | 書き方の例 | 見直しのサイン |
|---|---|---|
| 宿題にかかった時間 | 月:60分、水:90分 | 平日に毎日2時間を超える |
| テストの結果 | 算数 62点/クラス平均55点 | 3回続けて平均を下回る |
| 子どもの表情 | 授業の話を楽しそうにした | 塾の話をしなくなった |
記録は親だけでつけてもかまいません。数字と様子が並んでいると、先生に相談するときにも話が具体的になり、「宿題をどこまでしぼるか」「クラスを上げるには何を優先するか」といったアドバイスをもらいやすくなります。
計算スピードを上げるには
計算スピードは、毎日の練習で少しずつ上げていくことができます。1日10分ほど、時間を計って計算問題を解く習慣をつけましょう。速さだけでなく、正確さも大切です。間違えた問題は、どこでミスをしたのかを確認して、同じミスをくり返さないようにします。
入塾前から計算の習慣をつけておくと、入塾後の宿題にも取り組みやすくなります。
入塾までの3か月でできる準備
入塾テストまで3か月ほどあるなら、毎日の家庭学習を次のように組み立てると、2つのポイントを無理なく底上げできます。
| 時期 | 計算 | 先取り・考える問題 |
|---|---|---|
| 3か月前 | 毎日10分、基本計算20問 | 週2回、文章題を3問 |
| 2か月前 | 毎日10分、時間を記録 | 週3回、図形や規則性の問題 |
| 1か月前 | 毎日10分、見直しの習慣 | 入塾テスト対策の問題集を1回分 |
ポイントは、計算を毎日続けることと、考える問題は量より「どう考えたか」を話してもらうことです。親が答えを教えるより、「どこまで分かった?」と聞いて、子どもの言葉で説明してもらうほうが、入塾後の授業にもつながります。
また、計算の時間はグラフにして冷蔵庫などに貼っておくと、子どもが自分の伸びを目で見て確かめられます。5分かかっていた20問が4分になっただけでも、本人にとっては大きな自信です。
よくある質問
Q. 先取り学習は必ず必要ですか?
A. 必ずではありません。クラス別のテストで少しずつクラスを上げていける塾なら、入塾後に追いついていくこともできます。塾の仕組みに合わせて考えましょう。
Q. 入塾テストの結果が思わしくなかったら、どうすればよいですか?
A. どのクラスから始まるか、クラスの上がり方の仕組みを確認しましょう。下のクラスから始めて、基礎を固めながら上がっていく道もあります。
Q. 計算が遅い子は、宿題が少ない塾を選んだ方がよいですか?
A. 1つの考え方です。宿題が多い塾でも、取り組む問題をしぼれば対応できる場合があります。入塾前に、宿題の取捨選択について相談できるかを聞いておきましょう。
Q. 入塾テストの前に、別の塾の模試を受けたほうがよいですか?
A. 受けられるなら、本番の雰囲気に慣れる意味で1回受けておくと安心です。ただし結果に一喜一憂するより、時間配分と見直しの練習として使いましょう。
Q. 計算練習は、どのくらいの期間で効果が出ますか?
A. 毎日10分を続けると、早い子で1か月ほどでタイムが縮み始めます。速さより先に正確さを安定させると、その後の伸びが大きくなります。
入塾前5つのチェック
- □ テストの仕組みを確認した
- □ クラスの上がり方を聞いた
- □ 宿題の量を確認した
- □ 計算スピードを確かめた
- □ 子どもの気持ちを聞いた


まとめ:先取り学習と計算スピードから、塾との相性を考える
首都圏の中学受験塾は、クラスの分け方と宿題の量に特徴があります。入塾前に、子どもの先取り学習の状況と計算スピードを確かめ、テストの仕組み、クラスの上がり方、宿題の量との相性を考えましょう。2つのポイントがそろっていなくても、塾との合わせ方しだいで、力は伸ばしていけます。
まずは、子どもの計算スピードを、時間を計って確かめるところから始めてみてください。
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