中学受験の願書の書き方は?志望理由・家庭の方針を書く5つの手順と例文

11月に入ると、志望校の募集要項がそろい、いよいよ願書を書く時期が近づいてきます。白い用紙やWebの入力画面を前に、「志望理由って何を書けばいいの?」「家庭の教育方針なんて、改めて考えたことがない」と手が止まってしまう保護者の方は少なくありません。

小6の長男がいるわが家にとっても、この冬は出願の季節です。願書は、合否を左右する点数の答案ではありません。それでも、学校が家庭と子どもを知る最初の書類であり、面接がある学校では面接官の手元に置かれることもあります。

先に結論を書きます。願書は「上手な文章」より「その学校でなければ書けない中身」が大切です。そのためには、いきなり清書せず、募集要項の確認から始めて、親子で材料を集め、下書きを声に出して読む、という順番で進めるのが近道です。この記事では、願書を書く5つの手順と、志望理由・家庭の方針の例文の考え方をまとめます。

目次

中学受験の願書には何を書く?

願書に書く内容は、学校によってかなり違います。氏名や住所、在籍している小学校、写真といった本人の情報はどの学校でも求められますが、それ以外の欄は学校ごとに異なります。

よく見られるのは、志望理由、家庭の教育方針、本人の長所や小学校で力を入れたこと、学校への連絡事項を書く通信欄などです。一方で、志望理由や家庭の方針を書く欄がない学校もありますし、出願のあとに面接用の資料を別に提出する学校もあります。

つまり「願書の書き方」に一つの正解があるわけではありません。まずは、受ける学校それぞれで何を書くのかを確かめることから始まります。

中学受験の願書でよく見る欄(本人・志望理由・家庭の方針・その他)
中学受験の願書でよく見る欄

願書を書く5つの手順

① 募集要項で「欄」と「字数」を確かめる

最初にやることは、受ける学校すべての募集要項を開き、どの欄があるのか、字数や行数の目安はどれくらいか、手書きなのかWebで入力するのかを一覧にすることです。

最近はWeb出願の学校が増え、入力画面で志望理由を書く形式もあります。入力欄には字数の上限があることが多く、画面上で長い文章を考えると誤字や途中保存の失敗も起きやすくなります。どの形式でも、文面は先に別の場所で下書きしておくのが安心です。

学校ごとに、出願期間、提出方法、書く欄、面接の有無を1枚にまとめておくと、あとで何度も要項を見返さずに済みます。

▶ noteでも書いています:中学受験の出願準備を学校別に整える1枚台帳

② 親子で「材料メモ」を作る

いきなり文章を書き始めると、どうしても「自由な校風」「充実した教育環境」といった、どの学校にも当てはまる言葉に頼ってしまいます。そこで、文章にする前に材料を集めます。

材料になるのは、学校説明会や文化祭、授業見学で見たこと、聞いたこと、子どもが「いいな」と言った場面です。親子でそれぞれ「印象に残ったこと」を3つずつ書き出し、なぜそう感じたのかを一言ずつ添えてみてください。見学のときにメモを残していれば、ここで大いに役立ちます。

▶ 見学の記録の残し方は:秋の学校見学を「志望校の材料」に変える親子メモ

③ 学校の特色と家庭の経験をつなぐ

材料がそろったら、学校の特色と、わが子や家庭のこれまでをつなげます。志望理由は、次の3つの流れで考えるとまとまりやすくなります。

  • きっかけ:いつ、どこで、何を見てその学校を知り、惹かれたのか
  • 理由:学校のどの特色が、子どもの性格や関心、家庭が大切にしていることと重なるのか
  • 入学後:入学したら、どんなことに取り組みたいのか

家庭の教育方針の欄も同じです。「自主性を大切にしています」と書くだけでなく、そのために家庭でどんなことを続けてきたのかを一つ添えると、言葉に重みが出ます。そして、その方針が学校の教育とどこで重なるのかを書くと、なぜこの学校なのかが自然に伝わります。

④ 下書きを声に出して読む

下書きができたら、声に出して読んでみましょう。読みにくいところ、意味が二重になっているところ、一文が長すぎるところは、声に出すとすぐにわかります。

もう一つ大切なのは、子どもにも読んでもらうことです。面接がある学校では、願書に書いた内容をもとに質問されることがあります。子どもが「こんなこと言ってない」と感じる内容は、面接で答えに詰まる原因になります。本人の言葉で説明できる内容になっているかを、ここで確かめておきましょう。

⑤ 清書・入力の前に見直す

最後に、清書やWeb入力の前に見直しをします。チェックするのは、学校名の書き間違い、ほかの学校向けに書いた文が混ざっていないか、字数や行数の範囲に収まっているか、誤字脱字がないかの4点です。

複数の学校の願書を続けて書くと、学校名や特色を取り違えるミスが起きやすくなります。書いた本人以外の家族にも読んでもらうと安心です。手書きの場合は、書き損じに備えて予備の用紙を用意できるか、募集要項で確認しておきましょう。

願書を書く5つの手順
願書を書く5つの手順

志望理由・家庭の方針の例文

ここからは、例文の考え方を紹介します。どれも筆者の作例なので、そのまま写すのではなく、実際に見たこと、感じたことに置きかえて使ってください。

志望理由の例

【弱い例】貴校の自由な校風と充実した教育環境に魅力を感じ、志望いたしました。

この文は、学校名を入れ替えてもそのまま通じてしまいます。読む側からすると、なぜこの学校なのか、どんな子どもなのかが見えてきません。

【伝わる例】文化祭で生物部の展示を見学した際、生徒の方が自分で調べた研究の内容を、私たちにもわかる言葉で説明してくださいました。その姿に息子が強く惹かれ、「自分もこういう研究がしたい」と話したことが志望のきっかけです。入学後は、生き物の観察を続けてきた経験を生かし、仲間と一緒に研究に取り組みたいと考えています。

いつ、何を見て、どう感じ、入学後に何をしたいのかが入っているので、その学校を実際に見て選んだことが伝わります。

家庭の教育方針の例

【伝わる例】わが家では、自分で決めたことを最後までやり通す力を大切にしてきました。毎日の家庭学習も、その日の内容を本人が決め、終わったら自分で記録をつけることを続けています。生徒が自ら目標を立て、行事や部活動を運営していく貴校の教育は、この方針と重なると考えています。

方針を一言で示し、家庭で続けてきた具体的なことを添え、学校の教育との重なりで締める形です。

志望理由の弱い例と伝わる例
志望理由の弱い例と伝わる例

願書で気をつけたい3つのこと

一つ目は、事実と違うことを書かないことです。見学していない行事や、実際には続けていない取り組みを書くと、面接で質問されたときに子どもが困ってしまいます。

二つ目は、ほかの学校との比較を書かないことです。「〇〇中学より」といった表現は、読む側によい印象を与えません。その学校の魅力だけに目を向けて書きましょう。

三つ目は、締め切りから逆算して進めることです。首都圏では2月入試の出願が12月から1月に集中し、冬期講習や過去問演習とも重なります。11月のうちに材料メモと下書きまで進めておくと、直前期の負担がぐっと軽くなります。

▶ 直前期の過ごし方は:中学受験の直前期に親子でやること|2月1日までの1週間・前日・当日の朝・試験後の過ごし方

願書と面接の内容をそろえておく

面接がある学校では、願書は面接の土台になります。面接官が願書を見ながら「志望理由に書かれている文化祭の展示について、もう少し教えてください」と質問を広げていくことも考えられます。

そのため、願書を出したら、書いた内容のコピーやWeb入力の控えを必ず手元に残しておきましょう。面接の前日にもう一度親子で読み返し、書いたことを自分の言葉で話せるかを確かめておくと安心です。保護者面接がある学校では、両親で話す内容が食い違わないよう、家庭の方針の欄も一緒に読み合わせておくとよいでしょう。

願書の準備チェックリスト

次の項目を、学校ごとにチェックしてみてください。

  • 募集要項で、書く欄と字数、手書きかWeb入力かを確認した
  • 出願期間と、面接の有無を確認した
  • 親子で「印象に残ったこと」を3つずつ書き出した
  • 志望理由を「きっかけ・理由・入学後」の順で下書きした
  • 下書きを声に出して読み、子どもにも読んでもらった
  • 学校名の書き間違いと、他校向けの文の混入がないか確認した
  • 写真の規格(サイズや撮影時期)を確認した

よくある質問

Q. 願書は親が書いてもいいのですか?

A. 保護者が記入する欄と、本人が記入する欄が分かれている学校もあります。誰が書く欄なのかは、募集要項の指示に従ってください。保護者が書く欄でも、内容は子どもと話し合って決め、本人が説明できるものにしておくのがおすすめです。

Q. 併願校の願書も、第一志望と同じくらい時間をかけるべきですか?

A. 書く欄が少ない学校もあるので、かける時間は学校ごとに違って構いません。ただ、学校名の書き間違いや、第一志望向けの文がそのまま混ざるミスは避けたいところです。どの学校の願書も、見直しだけは丁寧に行いましょう。

Q. 書くことが思いつかないときはどうすればいいですか?

A. 学校のパンフレットやホームページの言葉を書き写すのではなく、もう一度説明会や見学のメモを見返してみてください。メモがない場合は、塾の先生に相談したり、子どもに「この学校のどこが好き?」と聞いたりするところから始めると、材料が見つかりやすくなります。

▶ 塾の先生への相談の仕方は:中学受験の塾面談で聞くこと

まとめ:願書は「その学校でしか書けない中身」を

中学受験の願書は、募集要項で欄と字数を確かめる、親子で材料メモを作る、学校の特色と家庭の経験をつなぐ、下書きを声に出して読む、清書・入力の前に見直す、の5つの手順で進めると、迷わずに書き進められます。

今日できることは、受ける学校の募集要項を1校分だけ開いて、書く欄と字数をメモすることです。それだけで、何から手をつければいいかが見えてきます。

願書づくりで悩んでいることがあれば、ぜひコメントで教えてください。

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