月の満ち欠けの図は覚えたはずなのに、過去問の図の向きや時刻が少し変わると、答えを選べなくなってしまう。天体は、理科のなかでも暗記だけでは点が安定しにくい単元です。
結論から言うと、月の問題は「光っている側に太陽がある」という1つの考え方と、「1日の動き」と「日ごとの変化」を分けて考えることで、ほとんどが解けるようになります。そのための土台として役立つのが、同じ場所・同じ時刻で見た月を記録する観察カードです。3枚あれば、形と位置の変化を自分の目で比べられます。
この記事では、観察カードの書き方、上弦・満月・下弦が見える時刻と方角、ライトとボールで確かめる方法、家庭での復習の進め方を紹介します。
月は「見た事実」から学び始める
観察の目的は、毎日きれいな写真を撮ることではありません。いつ、どこから、どんな形の月が、どの方角に見えたかを、あとで比べられるように残すことです。親が先に正解の図を説明してしまうと、子どもの記憶には言葉だけが残りがちです。まずは子ども自身が見た月を1枚のカードに残し、考える材料にします。
カードが3枚あれば十分です。数日おきに、同じ時刻、同じ場所で見た月を並べると、形が変わっていくこと、同じ時刻でも見える位置がずれていくことが、図ではなく自分の記録として分かります。
観察カードに書く4つの欄
カードには、日付と時刻、場所と方角、月の形、前のカードから変わったこと、の4つの欄を作ります。
時刻は毎回そろえます。月の位置は1日のうちでも動くので、昨日は夜7時、今日は夜9時に見た記録を並べると、日ごとの違いが読み取れません。場所も「ベランダの南側」「台所の東の窓」のように具体的に決め、屋根や木、電柱などの目印と一緒に月の位置を描きます。
形は、光っている部分を塗りつぶして描きます。最後の欄には、前のカードと比べて「右側の光が広がった」「同じ時刻なのに東寄りに見えた」のように、変わったことを1文で書きます。
屋外で観察するときは、大人が付き添い、段差や車に気をつけます。昼間の月を見る場合も、太陽を直接見ないこと、双眼鏡や望遠鏡を太陽に向けないことを、最初に約束しておきましょう。

光っている側に太陽がある
月は自分で光っているのではなく、太陽の光を反射して光って見えます。だから、月の光っている側には、必ず太陽があります。この1つの考え方が、月の問題を解くいちばんの手がかりです。
夕方、西の空に太陽が沈むころ、南の空に右半分が光る月が見えたら、それは上弦の月です。光っている右側、つまり西の方向に太陽があります。明け方、東の空から太陽が昇るころに南の空に見える左半分が光る月は、下弦の月です。どちらも、光っている側を指でたどると太陽の位置に行き着きます。
上弦・満月・下弦が見える時刻と方角
月は、新月から上弦、満月、下弦を経て、再び新月に戻ります。この満ち欠けは約29.5日の周期でくり返されます。
上弦の月は、昼ごろ東の空から出て、夕方に南の空で見え、真夜中ごろ西に沈みます。満月は、夕方に東の空から出て、真夜中に南の空に来て、明け方に西に沈みます。下弦の月は、真夜中ごろ東から出て、明け方に南の空で見え、昼ごろ西に沈みます。
覚えるときは、「満月は太陽と反対側にあるので、太陽が沈むころに出て、太陽が昇るころに沈む」というように、太陽との位置関係から考えると忘れにくくなります。上弦は満月の約1週間前、下弦は約1週間後なので、それぞれ満月より約6時間早く、または遅く動いている、とつなげることもできます。

▶ 理科の観察・実験問題の読み方はこちら:中学受験理科の実験問題|条件・結果・理由で読み解く家庭復習の進め方
「1日の動き」と「日ごとの変化」を分ける
月の問題でいちばん混乱しやすいのが、この2つの区別です。1日の動きは、地球の自転によるもので、太陽と同じように東から出て南の空を通り、西へ沈みます。
一方、日ごとの変化は、月が地球のまわりを回ることによるものです。同じ時刻に見ると、月の位置は毎日西から東へ少しずつずれ、月の出る時刻は毎日約50分ずつ遅くなっていきます。形も、新月から満月へ、右側から光る部分が広がっていきます。
観察カードで「同じ時刻なのに、前より東寄りに見えた」と書けていれば、それが日ごとの変化です。問題を解くときは、「この問題は1日の動きを聞いている?それとも日ごとの変化?」と最初に確かめる習慣をつけましょう。
形と方角から時刻を求める問題の解き方
入試では、「南東の空に、右半分が光る月が見えた。何時ごろか」のように、形と方角から時刻を答えさせる問題がよく出ます。こうした問題は、次の3つの手順で解けます。
まず形から月の名前を決めます。右半分が光っていれば上弦の月です。次に、その月が南の空に来る時刻を思い出します。上弦の月は夕方の6時ごろに南に来ます。最後に、方角のずれを時刻に直します。月は1時間に約15度ずつ東から西へ動くので、南東は南より45度東、つまり約3時間前の位置です。夕方6時の約3時間前なので、午後3時ごろと分かります。
この手順は、満月や下弦の月でも同じです。満月なら真夜中の0時ごろ、下弦なら明け方の6時ごろに南に来ることを基準に、方角のずれを時刻に直します。基準の時刻を3つだけ覚えておけば、あとは計算で求められるので、丸暗記の量をぐっと減らせます。
ライトとボールで照らされる面を確かめる
カードの記録と図をつなぐには、部屋を暗くして、ライトを太陽、白いボールを月、子どもの頭を地球に見立てる方法が分かりやすいでしょう。子どもはボールを手に持って腕をのばし、ライトの方を向いたり、背を向けたりしながら、その場でゆっくり回ります。
ライトの方向にボールがあるときは、照らされた面が見えず、新月になります。ライトと反対側にボールがあるときは、照らされた面がすべて見えて満月です。横に来たときに半分だけ光って見えるのが、上弦や下弦です。ボールの光っている側がいつもライトの方を向いていることを、自分の目で確かめられます。
ライトは熱くなるものもあるので、触れないように置き場所を親が決めます。暗い部屋で回るときは、家具にぶつからないよう周りを片づけておきましょう。
家庭でできる復習の進め方
観察ができない週は、問題集の図を使って復習します。図の中の月に光っている側を塗り、その方向に太陽を描きこみます。次に、問題が聞いているのが1日の動きか日ごとの変化かを確かめてから、時刻と方角を答えます。
間違えた問題は、「太陽の位置を描かなかった」「1日の動きと日ごとの変化を混ぜた」など、原因を1行で残しておきます。次の問題では、その1行を読んでから解き始めます。
よくある質問
Q. 観察は毎日しなければいけませんか?
A. 毎日でなくても大丈夫です。条件をそろえた記録が3枚あれば、形と位置の変化を比べられます。天気や家庭の予定に合わせて、無理のない日を選んでください。
Q. 昼間に見える月があるのはなぜですか?
A. 月は太陽が出ている時間にも空にあることがあり、明るさによっては昼間でも見えます。上弦の月は午後の東から南の空、下弦の月は午前中の南から西の空で見えやすくなります。
Q. 月食や日食も同じ考え方で解けますか?
A. 太陽・地球・月の位置関係で考える点は同じです。月食は満月のとき、日食は新月のときに起こることを、ライトとボールの並びで確かめておくと理解しやすくなります。
月の問題で確かめる5つのチェック
- □ いつ・どの方角の空かを確かめた
- □ 光っている側に太陽を置いた
- □ 1日の動き(東→南→西)と分けた
- □ 日ごとの変化(形と出る時刻)と分けた
- □ ボールとライトで確かめられる

まとめ:見た月と図をつなげる
月の満ち欠けは、光っている側に太陽があるという考え方と、1日の動きと日ごとの変化を分けることを押さえれば、図の向きが変わっても解けるようになります。その土台になるのが、同じ場所・同じ時刻で見た月の記録です。
今夜晴れていたら、親子で月を探して、1枚目のカードを書くところから始めてみてください。
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