併願校の候補を並べていると、「午後入試」という文字が何度も目に入ってきます。午前の第一志望のあとに、同じ日にもう1校受けられる。合格を早く手にできるなら心強い一方で、小学生に1日2回の試験は負担が大きすぎないか。11月から12月にかけて、多くのご家庭が一度は迷うポイントだと思います。
先に結論を書きます。午後入試は、うまく入れれば受験日程全体を楽にしてくれる仕組みです。ただし、移動・体力・科目・発表時刻・本人の気持ちの5つを確かめないまま入れると、かえって翌日以降の入試に響くことがあります。
この記事では、午後入試の基本と、受けるかどうかを決める前に家庭で確かめておきたい5つのこと、そして併願での入れ方を3つのパターンで整理します。
午後入試とは
午後入試は、午前の試験とは別に、同じ日の午後から始まる入試です。首都圏では2月1日や2日を中心に、多くの私立中学校が実施しています。
午前に別の学校を受けた受験生が移動して受けられるよう、開始時刻は午後の遅めの時間に設定されていることが多く、学校によっては開始時刻を複数用意しているところもあります。科目は算数1科、国語と算数の2科など、午前の4科入試より短い形が多いのが特徴です。
もう一つの特徴は、合格発表が早いことです。当日の夜にWebで発表する学校もあり、その結果を見て翌日以降の出願を決められます。ただし、開始時刻・科目・発表の時刻と方法は学校ごとに違うので、必ず募集要項で確かめてください。

午後入試のメリットとデメリット
メリットは大きく3つあります。1つ目は、早い段階で合格を手にできることです。入試の前半に合格が1つあると、その後の入試に落ち着いて向かえると一般的に言われています。2つ目は、受験の機会が増えることです。同じ日に2校受けられるので、限られた日程の中で併願の幅を広げられます。3つ目は、科目が少ない入試なら、得意科目を生かしやすいことです。
一方でデメリットも3つあります。1つ目は体力の消耗です。午前の試験で集中力を使い切ったあとに、移動してもう一度試験に臨むのは、大人が想像する以上に大変です。2つ目は移動と昼食の段取りです。会場が離れていると、昼食を落ち着いてとる時間がなくなることもあります。3つ目は、翌日への影響です。夜遅くに帰宅すると、翌日の入試の準備や睡眠の時間が削られてしまいます。
▶ あわせて読みたい:中学受験 併願校の選び方完全ガイド
受けるか迷ったら確かめたい5つのこと
① 午前の会場から間に合うか
最初に確かめたいのは移動です。午前の試験が終わる時刻と、午後の学校の集合時刻を並べて、電車の乗り換えや徒歩の時間まで含めて間に合うかを地図アプリで調べてみてください。
試験の終了時刻は予定より延びることもありますし、保護者との待ち合わせにも時間がかかります。調べた所要時間に30分ほどの余裕を足しても間に合うか、という目安で考えると安心です。
② 昼食をいつ・どこでとるか
移動の時間が分かったら、昼食をとるタイミングを決めます。駅のベンチや電車の中で軽く食べることになる場合も多いので、片手で食べられるおにぎりやパンなど、本人が食べ慣れたものを用意しておきましょう。
当日いきなり試すのではなく、冬休みの模試や講習の日に「移動しながら昼食をとる」練習を一度しておくと、本番での戸惑いが減ります。
▶ noteでも書いています:中学受験当日の持ち物と移動を学校別に確認する準備シート
③ 午後の科目と問題形式
午後入試は科目が少ないぶん、1科目の配点が大きくなります。算数1科の入試なら、算数の出来がそのまま合否を分けます。過去問を1年分でいいので解いてみて、問題の量や難しさが子どもに合っているかを確かめてください。
午前の学校と出題の傾向が大きく違う場合は、頭の切り替えも必要です。似た形式の学校を選ぶか、違う形式の学校を受けるなら直前期に少し練習しておくか、塾の先生とも相談しておきましょう。
④ 合格発表の時刻と翌日の締切
午後入試の大きな利点は発表の早さですが、それを生かすには「何時に発表があり、その結果で翌日のどの出願を決めるのか」を前もって書き出しておく必要があります。
特に、翌日以降の入試の出願締切が当日の夜や翌朝に設定されている学校もあります。発表を見てから慌てないよう、合格した場合・不合格だった場合のそれぞれで、次にどこへ出願するかを紙1枚にまとめておくと安心です。
▶ 出願の段取りは:中学受験のWeb出願で慌てない|家庭で先にそろえる4つの準備
⑤ 子ども本人の気持ち
最後は、子ども本人が「午後も受けられそう」と思えるかどうかです。体力に自信がある子もいれば、1日1回の試験で力を出し切りたい子もいます。
聞くときは、「午後入試ってこういうものだよ」と一日の流れを説明したうえで、「この日、午後も受けてみる?」と選択肢として聞いてみてください。本人が納得して決めた日程なら、当日の疲れにも前向きに向き合いやすくなります。

午後入試の入れ方は3パターン
5つを確かめたら、併願の日程の中に午後入試をどう入れるかを考えます。よく見られる形は大きく3つです。
1つ目は、午前に第一志望、午後に合格の見通しが立つ学校を入れる形です。その日のうちに合格を1つ手にできるので、気持ちの支えになりやすい王道の組み方です。2つ目は、午前だけ受けて午後は休む形です。体力に不安がある子や、翌日にも大事な入試がある場合に向いています。3つ目は、すでに合格を持っている日に、午後でチャレンジ校を受ける形です。気持ちに余裕がある日に挑戦を重ねられます。
どれが正解ということはありません。子どもの体力と、併願校全体の組み方を見て決めることが大切です。

冬休みにやっておきたい「1日2回」の練習
午後入試を入れると決めたら、冬休みのうちに一度、1日に2回試験を受ける流れを家で再現してみることをおすすめします。
やり方は簡単です。午前中に第一志望の過去問を本番と同じ時間で解き、終わったら30分ほどで昼食をとります。そのあと少し歩くか、近所を一回りして移動の代わりにし、午後に午後入試の学校の過去問を解きます。時計は本番の開始時刻に合わせると、より実感がわきます。
やってみると、午後の集中力がどれくらい続くか、昼食の量はどれくらいがちょうどいいか、子ども自身が分かるようになります。疲れて午後の点数が大きく下がるようなら、組み方を見直すサインです。逆に「意外といける」と本人が感じられれば、当日の不安がひとつ減ります。
親にとっても、この練習は当日の段取りを確かめる機会になります。お弁当の中身、飲み物、着替えやカイロなど、2回分の試験に必要な持ち物を書き出しておきましょう。
塾の面談で聞いておきたいこと
午後入試を入れるかどうかは、塾の先生の意見も参考になります。面談では、「この子の体力や集中力から見て、午後入試を入れても大丈夫そうですか」「午前の学校と午後の学校の組み合わせで、出題の相性はどうですか」「午後入試の結果を受けて、翌日の出願をどう変えるのがいいですか」の3つを聞いておくと、判断がぐっとしやすくなります。
先生の答えはメモに残し、家に帰ってから夫婦で共有しておきましょう。
よくある質問
Q. 午後入試の合格は、午前の学校より価値が低いのですか?
A. 午後入試だからといって、入学後に区別されることは一般的にはありません。ただ、入試の科目や形式が違うぶん、入学後の授業についていけるかは学校説明会などで確かめておくと安心です。
Q. 午後入試を受けるかどうか、いつまでに決めればいいですか?
A. 出願期間までに決めれば手続き上は間に合いますが、移動の下見や昼食の練習を考えると、12月中に決めておくのがおすすめです。
Q. 当日、午前の手応えが悪かったら午後を休んでもいいですか?
A. 休むこと自体はできますが、合格の見通しを立てるために入れた午後入試なら、できるだけ受けたほうが日程全体は安定します。迷う場合に備えて、「この場合は受ける・休む」を事前に親子で決めておくと、当日に揺れずに済みます。
午後入試を受ける前のチェックリスト
- □ 午前の会場から間に合うか地図で確かめた
- □ 昼食をとる場所と時間を決めた
- □ 午後の科目と問題形式を過去問で見た
- □ 合格発表の時刻と翌日の締切を書き出した
- □ 子どもに「午後も受けられそう?」と聞いた
まとめ:午後入試は「段取り」で決まる
午後入試は、早く合格を手にでき、受験の機会も増やせる心強い仕組みです。その一方で、移動や体力の負担があり、翌日への影響もあります。移動・昼食・科目・発表時刻・本人の気持ちの5つを確かめてから、3つのパターンの中でわが子に合う入れ方を選びましょう。
今日できることは、候補の学校の募集要項を開いて、午後入試の開始時刻と合格発表の時刻を1枚の紙に書き出してみることです。それだけで、入れられる日と入れにくい日が見えてきます。
午後入試を入れるかどうかで迷っていることや、こうして決めたという工夫があれば、ぜひコメントで教えてください。
関連記事
- 中学受験 併願校の選び方完全ガイド
- 中学受験のWeb出願で慌てない|家庭で先にそろえる4つの準備
- 中学受験の学校説明会 親子で後悔しないための見方とメモの残し方
- noteでも書いています:中学受験当日の持ち物と移動を学校別に確認する準備シート
- noteでも書いています:中学受験の出願準備を学校別に整える1枚台帳
あわせて読みたい

参考資料
各校の募集要項(試験開始時刻・科目・合格発表の時刻と方法・入学手続きの締切は学校ごとに確認してください)

コメント