中学受験の塾を選ぶとき、つい目が向くのが合格実績です。「〇〇中学 合格者〇〇名」という大きな数字は、たしかに頼もしく見えます。ですが、合格実績の数字には、知っておきたい数え方のしくみがあります。そして、塾選びで本当に大切なことの多くは、数字の外にあります。
結論から言うと、合格実績は「複数の塾に通う子の数え方」「延べ合格者数」「併願校の合格」という3つの理由で、実際の生徒数より大きく見えることがあります。そのしくみを知ったうえで、得意分野と志望校の相性、集団と個別の使い分け、通塾と教材、先生と保護者へのサポートの4つの基準で塾を選ぶと、子どもに合う塾が見つけやすくなります。
この記事では、合格者数が膨らむ3つの数え方を簡単に整理したうえで、合格実績以外に見る4つの基準と、それぞれの確かめ方を紹介します。
この記事でわかること
- 合格者数が膨らむ3つの数え方
- 合格実績以外に塾を見る4つの基準と、その確かめ方
- 学年による基準の変え方と、入塾後の見直し方
合格者数が膨らむ3つの数え方


1. 複数の塾に通う子の数え方
中学受験では、平日は大手の塾、週末は別の塾や専門塾、というように、複数の塾に通う子が少なくありません。この場合、1人の合格を、通っていたそれぞれの塾が自分の実績として数えることがあります。そのため、各塾の数字を合計すると、実際の合格者数を上回ることがあります。
2. 延べ合格者数
1人の子が2つの学校に合格した場合、延べ合格者数では2人と数えます。実際に合格した生徒の人数(実合格者数)を知りたい場合は、塾の資料の注意書きを確かめるか、説明会で質問してみましょう。
3. 併願校の合格
中学受験では、1人が何校も受験します。併願校の合格もすべて足し合わせると、合格者数は在籍している生徒の数よりずっと大きくなります。
どの数え方も、間違いというわけではありません。ただ、数字の大きさをそのまま「この塾に入れば合格できる」と受け取らないことが大切です。数字の読み方は、別の記事でくわしく紹介しています。
▶ 合格実績の数字の読み方はこちら:中学受験の大手の合格者の集計の秘密
合格実績以外に見る4つの基準


基準1:塾の得意分野と志望校の相性
塾には、それぞれ得意な分野や強い学校があります。算数の思考力を鍛える授業に力を入れている塾、記述の多い国語の指導に定評のある塾、特定の学校の対策に強い塾など、特色はさまざまです。志望校の入試傾向と、塾の得意分野を照らし合わせてみましょう。
たとえば、記述問題が多い学校を目指すなら、答案を添削してくれる機会が多い塾が心強いでしょう。志望校がまだ決まっていない低学年のうちは、4教科をバランスよく学べるかを重視するのがおすすめです。説明会で「〇〇中学校のような記述が多い学校には、どんな対策をしていますか」と聞いてみると、塾の考え方が見えてきます。
基準2:集団と個別の使い分け
大手の塾の多くは集団授業が中心です。集団授業は、周りと競い合う中でやる気が高まるよさがある一方、理解の差が開きやすい面もあります。苦手な教科があるときは、個別指導を組み合わせるのも1つの方法です。
ただし、塾を増やすほど子どもの時間と体力、家庭の費用の負担も増えます。まずは今の塾で、質問の時間や補習など、苦手を補う方法がないかを確かめましょう。塾の先生に「この教科は家庭でどう補えばいいですか」と相談するだけで、外の塾に頼らずに済むこともあります。
基準3:通塾のしやすさと教材
どんなに評判のよい塾でも、通塾に時間がかかりすぎると、子どもが疲れて家で勉強する時間が減ってしまいます。片道の時間、授業が終わる時刻、帰り道の安全を確かめておきましょう。
教材も大切です。教材の量が多すぎると、家で消化しきれずに積み上がってしまいます。1週間の宿題にどのくらい時間がかかるか、教材は子どもにとって分かりやすいかを、体験授業や説明会で確かめておくと安心です。
基準4:先生と保護者へのサポート
先生の教え方が子どもに合っているか、質問しやすい雰囲気かは、成績の伸びに大きく関わります。体験授業では、先生が答えだけでなく「なぜそうなるのか」を大切にしているか、子どもの質問にていねいに答えてくれるかを見ておきましょう。
保護者へのサポートも確かめたいポイントです。テストの結果や学習の様子を共有してくれるか、面談の機会がどのくらいあるか、困ったときに相談しやすいか。中学受験は家庭と塾が一緒に進めるものなので、相談しやすい塾は長い受験生活の心強い味方になります。
学年によって重視する基準は変わる
4つの基準は、学年によって重みが変わります。小3〜小4の低学年のうちは、通いやすさと、子どもが楽しく通えるかがいちばん大切です。勉強の習慣をつけ、学ぶことを好きになる時期なので、無理なく続けられる環境を選びましょう。
小5になると、学習内容が一気に難しくなり、先生の教え方や質問のしやすさが成績に表れやすくなります。分からないところをその週のうちに解消できる仕組みがあるかを確かめておくと安心です。小6では、志望校の対策がどれだけ充実しているかが大きな判断材料になります。志望校別の講座や、過去問の指導の進め方を説明会で聞いておきましょう。
入塾後も「合っているか」を見直す
塾選びは、入塾したら終わりではありません。半年ほどたったら、子どもが授業を楽しめているか、宿題が回っているか、成績の推移はどうかをふり返ってみましょう。合格実績の多い塾に入っても、子どもに合っていなければ力は伸びにくくなります。
うまくいっていないと感じたら、まずは塾の先生に相談し、クラスや講座の組み合わせを見直します。それでも改善しない場合は、塾を変えることも選択肢の1つです。大切なのは、塾の名前や数字ではなく、子どもが前向きに学べているかどうかです。
4つの基準をどう確かめるか
4つの基準は、説明会と体験授業で確かめるのがいちばんです。説明会では、志望校の対策、苦手の補い方、宿題の量、面談の回数を同じ質問で聞き、候補の塾どうしを比べます。体験授業では、子どもが「分かった」「また行きたい」と感じたかを大切にしましょう。
パンフレットやインターネットの情報だけで決めず、実際に足を運ぶこと。この一手間が、入塾してからの「こんなはずじゃなかった」を減らしてくれます。
▶ 体験授業で見るポイントはこちら:【必見】間違えない塾の選び方
よくある質問
Q. 合格実績が少ない塾は避けた方がいいですか?
A. 合格者数は塾の規模にも比例するので、少ないからといって指導の質が低いとは限りません。子どもとの相性や、志望校に近い学校の実績が安定しているかを合わせて見てください。
Q. 個別指導を併用するのは、いつからがいいですか?
A. 苦手な単元が続いて塾の授業についていけなくなったときが1つの目安です。まずは今の塾の先生に相談し、それでも補いきれない場合に検討してください。
塾選びの5つのチェック
- □ 合格者数の数え方を確かめた
- □ 志望校の入試傾向と塾の強みを比べた
- □ 苦手を補う方法を塾に聞いた
- □ 通塾の時間と宿題の量を確かめた
- □ 面談や相談のしやすさを確かめた


まとめ:数字のその先にある「相性」を見る
塾の合格実績は、複数の塾に通う子の数え方、延べ合格者数、併願校の合格によって、実際の生徒数より大きく見えることがあります。数字は大切な参考ですが、それだけで塾を選ぶのはおすすめしません。
得意分野と志望校の相性、集団と個別の使い分け、通塾と教材、先生と保護者へのサポート。この4つの基準で、子どもの性格や学び方に合う塾を選びましょう。次の説明会では、合格実績の話を聞いたあとに、ぜひ「苦手な教科はどう補っていますか」と質問してみてください。
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