わが家の子どもが6歳になり、年長の冬を迎えたころのことです。春には幼稚園の卒園と小学校入学、その前には塾の入塾テストの再挑戦が控えていました。前回は基準点まであと一息だったこともあり、父親はお正月もドリルに取り組ませるなど、少しピリピリしていました。
そんな中、子どもは少し物心がついてきたのか、「どうして(友達と比べて)ぼくだけ勉強するの?」とよく聞いてくるようになりました。この記事では、そのとき返答に困りながらもわが家が伝えてきた答え方と、勉強を嫌いにさせないための声かけを紹介します。
この記事でわかること
- わが家が伝えてきた答え
- 親の気持ちも見つめ直す
- 勉強の時間を楽しい時間にする工夫
わが家が伝えてきた答え
そのたびに返答に困りましたが、わが家ではこう伝えてきました。「勉強すると、好きな恐竜や虫のこととか、いろいろなことを知ることができるよ。物知りになると、知ることがもっと楽しくなるよ」。
勉強を嫌いにさせないように、それでいて勉強の大切さを感じてもらえるように伝えることが大切だと考えています。
答えるときの3つのポイント

子どもの好きなことと結びつける
「将来のため」と言われても、6歳の子どもにはぴんときません。それよりも、子どもが今好きなことと結びつけるほうが伝わりやすくなります。恐竜が好きな子なら恐竜のこと、虫が好きな子なら虫のことを、もっと知ることができると伝えます。
知る楽しさを伝える
勉強は、知らなかったことを知る楽しさにつながっています。「物知りになると、もっと楽しくなる」という言葉には、そんな思いを込めています。
問いを責めない
「どうして勉強するの?」と聞かれると、親は「文句を言っている」と受け取ってしまいがちです。けれども、この問いは、子どもが勉強の意味を自分なりに考え始めたしるしでもあります。まずは、聞いてくれたことを受け止めましょう。
好きなことと勉強のつなげ方の例
「どうして勉強するの?」と聞かれたときは、子どもの好きなことから答えを探すと、6歳の子にも伝わりやすくなります。
| 子どもの好きなこと | 勉強とのつなげ方の例 |
|---|---|
| 恐竜 | 字が読めると、図鑑を自分で読める |
| 電車 | 時刻表が読めると、乗りたい電車が分かる |
| 料理 | 数が分かると、材料をはかってお手伝いできる |
| サッカー | 計算ができると、試合の点数や時間が分かる |
| お絵かき | 形を知ると、もっといろいろな絵が描ける |
ポイントは、遠い将来のことではなく、「今すぐ」できるようになることを伝えることです。6歳の子どもにとって、「大人になったら役に立つ」より、「明日、図鑑が読める」ほうが、ずっと分かりやすいからです。
好きなことと結びつける4つのステップ

1. 気持ちを聞く
「どうしてそう思ったの?」と聞いてみます。友達が遊んでいる時間に勉強していることが気になっているのかもしれません。
2. 好きなことを思い出してもらう
「〇〇は何が好きだっけ?」と、子どもが好きなことを話してもらいます。
3. 勉強とつなげる
「字が読めると、恐竜の図鑑を自分で読めるね」「数が分かると、虫の足の数も数えられるね」と、勉強と好きなことをつなげます。
4. 一緒に調べてみる
言葉だけで終わらせず、実際に図鑑で一緒に調べてみましょう。「知るって楽しい」を体験できると、勉強の意味が実感として伝わります。
やりとりの例
4つのステップを使ったやりとりの例です。
| ステップ | 親の言葉 | 子どもの反応の例 |
|---|---|---|
| 1. 気持ちを聞く | 「どうしてそう思ったの?」 | 「〇〇くんは遊んでるのに」 |
| 2. 好きなことを思い出す | 「〇〇は何が好きだっけ?」 | 「ティラノサウルス!」 |
| 3. 勉強とつなげる | 「字が読めたら、図鑑で強さのひみつが読めるね」 | 「読めるようになりたい」 |
| 4. 一緒に調べる | 「じゃあ、今から図鑑で探してみよう」 | 図鑑を開いて読み始める |
実際には、いつもこの通りにうまくいくわけではありません。それでも、子どもの気持ちを聞くところから始めると、子どもも「ちゃんと聞いてもらえた」と感じて、落ち着いて話を聞いてくれることが多くなりました。
▶ 体験のあとに気持ちを聞き、夢と学びをつなぐ方法はこちら:将来の夢
友達と比べる言い方は避ける
「ぼくだけ」という言葉には、友達と比べている気持ちが表れています。そんなときに、「〇〇ちゃんも頑張っているよ」と別の子を引き合いに出すと、子どもはかえって比べる気持ちを強めてしまうかもしれません。
比べるのではなく、子ども自身の好きなことや、できるようになったことに目を向けて話すようにしましょう。
親の気持ちも見つめ直す
子どもに問いかけられたとき、親自身も「なぜ勉強させているのか」を見つめ直すきっかけになります。入塾テストなどの目標が近いと、親のほうが焦ってしまい、子どもにもその気持ちが伝わります。
親がピリピリしていると感じたら、少し肩の力を抜いて、子どもと一緒に楽しめる学びの時間をつくってみましょう。
好きなことから勉強につながる例
子どもの好きなことは、思っている以上にたくさんの勉強とつながっています。恐竜が好きな子なら、恐竜の名前を読むことで文字に親しみ、体の大きさを比べることで数や長さの感覚が育ちます。恐竜がいた時代のことを知れば、理科や社会への興味にもつながります。
虫が好きな子なら、虫の足の数を数えたり、どこにすんでいるかを調べたりすることで、数や自然の仕組みを学べます。乗り物が好きな子なら、駅の名前や地図から、文字や地理に親しむことができます。
このように、好きなことの中に勉強の入り口を見つけてあげると、子どもは「勉強すると、好きなことがもっと楽しくなる」と実感しやすくなります。
くり返し聞かれても大丈夫
「どうして勉強するの?」という問いは、一度答えれば終わりではありません。子どもは成長に合わせて、何度も同じことを聞いてきます。
そのたびに、子どもの今の興味に合わせて答えを変えていけば大丈夫です。返答に困ったときは、「どうしてだと思う?」と聞き返して、一緒に考えるのもよいでしょう。
勉強の時間を楽しい時間にする工夫
勉強の意味を言葉で伝えるだけでなく、勉強の時間そのものを楽しい時間にすることも大切です。取り組んだあとに一緒に図鑑を眺める、できた問題に花丸をつける、といった小さな楽しみをつくると、子どもは勉強に前向きになりやすくなります。
年齢によって答えを変えていく
「どうして勉強するの?」という問いは、年齢とともに何度も出てきます。答え方は、子どもの成長に合わせて変えていくとよいでしょう。
| 年齢・学年 | 伝え方の例 |
|---|---|
| 年長〜小1 | 好きなことが、もっと楽しくなるから |
| 小2〜小3 | できることが増えると、自分で選べることが増えるから |
| 小4〜小6 | 行きたい学校や、やりたいことに近づくため |
| 中学生以降 | 自分で考えて、答えを見つけていく |
年齢が上がるにつれて、親が答えを渡すのではなく、子ども自身が答えを見つけられるように、問い返していくことも大切です。「〇〇はどうして勉強すると思う?」と聞いてみると、子どもなりの答えが返ってくることもあります。
よくある質問
Q. 「勉強したくない」と言われたらどうすればよいですか?
A. まずは気持ちを受け止めて、何が嫌なのかを聞いてみましょう。量が多すぎる、内容が難しすぎるなど、理由に合わせて調整することが大切です。
Q. 好きなことが特にない子には、どう伝えればよいですか?
A. ふだんの遊びや会話の中で、子どもが目を輝かせる瞬間を探してみましょう。小さな興味でも、学びにつなげることができます。
Q. 「将来のため」と伝えるのはよくないですか?
A. 間違いではありませんが、幼い子どもには実感しにくい言葉です。今の楽しさと結びつけて伝えるほうが届きやすくなります。
Q. 親が焦っているとき、子どもに伝わってしまいますか?
A. 子どもは親の様子をよく見ています。テストが近いときほど、親自身が落ち着いて、子どもと楽しめる時間を意識してつくりましょう。
Q. 勉強が好きな子と、そうでない子の違いは何ですか?
A. 一概には言えませんが、「知ることが楽しい」と感じた経験が多い子ほど、勉強に前向きになりやすいと言われます。
Q. 勉強の意味を説明しても、納得してくれません。
A. 言葉で納得させようとしなくても大丈夫です。一緒に図鑑を読む、買い物で計算するなど、勉強が役に立った経験を積み重ねるうちに、子ども自身が少しずつ意味を感じていきます。
声かけの5つのチェック
- □ 子どもの問いをまず受け止めた
- □ 子どもの好きなことを知っている
- □ 勉強と好きなことを結びつけた
- □ 友達と比べる言い方をしていない
- □ 一緒に調べる時間をつくった

まとめ:好きなことと結びつけて、知る楽しさを伝える
「どうしてぼくだけ勉強するの?」という問いは、子どもが勉強の意味を考え始めたしるしです。子どもの好きなことと結びつけて、「物知りになると知ることが楽しくなる」と伝え、勉強を嫌いにさせずに大切さを感じてもらいましょう。
まずは、子どもが今いちばん好きなことを1つ思い浮かべ、それを勉強とどうつなげられるか考えてみてください。
関連記事
あわせて読みたい


コメント