図形の補助線が引けない子へ|家庭で「見る順番」を整える3ステップとよく使う4つの補助線【中学受験算数】

図形の問題で、子どもの手が止まる。「補助線を引けばいい」と分かっていても、どこに、なぜ引くのかが説明できない。解説を見ると1本の線で解けるのに、どうしてその線を思いついたのかが分からない。図形が苦手な子の家庭では、とてもよく見かける場面です。

結論から言うと、補助線は「ひらめき」ではなく、図の中にすでにある手がかりをつなぐ線です。線を引く前に、同じ長さ・同じ角・平行・直角に印をつけ、「この線で何を作りたいのか」を言葉にする。そのうえで、平行線、対角線、辺の延長、円の中心と結ぶ線という、よく使う4つの補助線から目的に合うものを選びます。この順番を家庭で練習すると、初めて見る図でも手が動くようになります。

この記事でわかること

  • 図形の補助線が引けないときに試す「見る順番」の3ステップ
  • まず試したい4つの補助線と、例題での使い方
  • 親の声かけのコツと、家庭での練習の進め方
目次

補助線が引けないのは、センスがないからではない

補助線は、何もないところに魔法の線を足すことではありません。図の中にすでにある「同じ」「平行」「この形なら使えそう」という情報をつなぎ、解きたい関係を見やすくするための線です。完成した解説だけを見ると、一瞬で思いついたように見えますが、実際には使える手がかりを順に確かめています。

家庭で「ここに線を引けばいいでしょ」と親が赤ペンで線を足してしまうと、次に別の図が出たときに再現できません。代わりに、何が見えたかを子ども自身の言葉で言える状態を目指します。

補助線を引く前の3ステップ

ステップ1:線を引く前に、図の手がかりに印をつける

最初は線を引かず、鉛筆や色ペンで、すでに書かれている情報に小さく印をつけます。見るのは、同じ長さの辺や同じ大きさの角、平行な線や直角の印、三角形や平行四辺形など名前を知っている形、の3つだけです。等しい角には弧、平行には矢印、気になる形には丸、というように、本人が区別できれば十分です。

問題文で与えられた長さや角度も、図の近くに書き直しておきます。情報を頭の中だけに置かないことで、「何も見つからない」という感覚が減っていきます。

ステップ2:「何を作りたい線か」を言葉にする

次に、補助線の候補を描く前に、「この線を引いたら、何ができそう?」と目的を聞きます。答えは立派でなくて構いません。「同じ形を2つ作れそう」「この角を別の場所に移せそう」「面積を2つに分けられそう」のように、見込みを言葉にします。

子どもが止まったら、親は「印をつけた中で、つながりそうなものはどれ?」と聞きます。印と印をつなぐ線が、補助線の候補になることがよくあります。

ステップ3:引いた線で分かったことを書く

線を1本引いたら、その線で何が分かったかを図に書きこみます。「ここが同じ角になった」「相似な三角形が2つできた」などです。何も分からなければ、その線は消して、ステップ2に戻ります。線を何本も重ねていくと、かえって図が見えなくなるので、1本ずつ試すのがコツです。

補助線を引く前の3ステップ
補助線を引く前の3ステップ

まず試したい4つの補助線

型1:平行線を引いて角を移す

角度の問題で、折れ曲がった線の間の角を求めるときによく使います。折れ曲がった点を通って、与えられた平行線と平行な線を1本引くと、錯角や同位角を使って、角を別の場所に移せます。「平行な線の間で、Zの形やFの形を探す」と覚えておくと、どこに引けばいいかが見えてきます。

型2:対角線を引いて三角形に分ける

四角形や多角形の面積・角度の問題で使います。対角線を1本引くと、図形が三角形に分かれ、三角形の面積の公式や内角の和(180度)が使えるようになります。どちらの対角線を引くかは、印をつけた手がかりがより多く含まれるほうを選びます。

型3:辺を延ばして大きな三角形を作る

台形や、途中で切れた三角形の問題で使います。2本の辺を延ばして交わらせると、大きな三角形ができ、もとの図形との間に相似な三角形が現れることがあります。相似が見つかれば、長さの比から分からない長さを求められます。

型4:円の中心と結ぶ

円やおうぎ形が出てくる問題では、円の中心と円周上の点を結ぶ線を引いてみます。円の半径はすべて同じ長さなので、二等辺三角形ができ、底角が等しいという関係が使えるようになります。

よく使う4つの補助線
まず試したい4つの補助線

4つの型はあくまで候補です。ステップ2で「何を作りたいか」が決まっていれば、どの型を使うかは自然に選べます。逆に、目的がないまま型を当てはめると、線が増えるだけで答えに近づきません。

▶ 面積の問題は「等しい面積」から探します:中学受験算数の面積 補助線の前に等しい面積を探す家庭復習

例題で3ステップを試す

説明のための例で考えてみます。2本の平行な直線の間に、折れ曲がった線があり、上の直線との間の角が40度、下の直線との間の角が30度のとき、折れ曲がった点の角度を求める問題です。

ステップ1で、平行の矢印と、40度・30度の角に印をつけます。ステップ2で、「平行な線を使って、40度と30度を折れ曲がった点に集めたい」と目的を言葉にします。そこで型1を選び、折れ曲がった点を通って、2本の直線と平行な線を引きます。ステップ3で、錯角から上側に40度、下側に30度が移ったことを書きこむと、求める角は40+30=70度だと分かります。

線を引く前に「角を集めたい」と目的を言えたことで、引く線が1本に決まりました。目的があいまいなまま線を引くと、ほかの場所に何本も線を足して迷ってしまいます。

親の声かけは答えより「何が見えた?」

子どもが図を眺めて黙っているとき、つい解き方を教えたくなります。でも、まずは「何が見えた?」「印をつけたところはどこ?」と聞いてみてください。子どもが言葉にできたら、それがステップ2の目的につながっていきます。

線を引いて答えが出たあとも、「その線を引こうと思ったのはどうして?」と聞くと、子どもは自分の考えの筋道を振り返ります。説明が短くても、印をつけた手がかりと線がつながっていれば十分です。

家庭での練習の進め方

1日1問、補助線が必要な問題を選び、3ステップを順に試します。最初の5分は印をつけるだけ、次の5分で目的を言葉にして線を1本引き、最後の5分で分かったことを書いて解き進めます。解けなかったら解説を読みますが、そのときも「解説の線は、どの手がかりとどの手がかりをつないでいるか」を確かめます。

翌日は、同じ型の補助線を使う別の問題を1問解きます。前の日の線の引き方を思い出せれば、その型は身につきつつあります。塾や教材で示された解き方があれば、それを優先しながら、3ステップで「なぜその線なのか」を確かめる使い方をしてください。

よくある質問

Q. 補助線のパターンを全部覚えるべきですか?

A. まずは4つの型を覚え、それぞれ「何を作るための線か」を言えるようにするのがおすすめです。パターンを増やすより、目的と型を結びつけるほうが、初めて見る問題に強くなります。

Q. 線を引きすぎて図がぐちゃぐちゃになります。

A. 線は1本ずつ、引いたら分かったことを書く、というルールにしてみてください。何も分からなかった線は消してから次を試すと、図がすっきりします。

Q. 図を描き写すのに時間がかかります。

A. 問題の図をコピーして使うか、写すときは定規で平行な線と直角だけを正確に描き、ほかはおおまかで構いません。大切なのは、関係が分かることです。

補助線の問題で確かめる5つのチェック

  • □ 同じ長さ・角・平行・直角に印をつけた
  • □ 求めるもの(角・長さ・面積)を確かめた
  • □ 線を引く目的を言葉にした
  • □ 引いた線で分かったことを書いた
  • □ 同じ型の問題で再現できた
補助線の問題で確かめる5つのチェック
補助線の問題で確かめる5つのチェック

小6の11月〜入試直前にこの記事を使うなら

過去問で図形を落としたら、解説の補助線をそのまま写す前に「4つの補助線のどれだったか」を1語で書いてください。直前期は新しい技を増やすより、自分がよく使う補助線を確かめるほうが得点につながります。

まとめ:補助線は、手がかりをつなぐ線

補助線は、ひらめきではなく、図の中の手がかりをつなぐ線です。印をつける、目的を言葉にする、分かったことを書く、の3ステップを踏み、平行線・対角線・辺の延長・円の中心と結ぶ線の4つの型から選べば、どこに引けばいいかが見えてきます。

今日の練習では、図形の問題を1問選び、線を引く前に手がかりに印をつけるところから始めてみてください。

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